沖縄本島最北端の村・国頭村にある小集落・与那!
海岸の近くにあることからこの名前が付いたらしい。
人口180人足らずのこの集落では、夜が開けぬ前からヤンバルクイナが鳴き出し、しばらくするとノグチゲラのドラミングが聞こえる。両者とも、このやんばるの森にしか生息しない固有種である。
その後、空が白み始めると、女性たちが家の中で動き出す。
まず、お湯を沸かし、お茶を入れるのである。
しかし、そのお茶は、自分が飲むのではない。
まず、先に、台所の「火の神(ヒヌカン)」に捧げ、「昨日も食べ物に不自由しなかったことに感謝」し、その後は、お仏壇のご先祖様に捧げ、「昨日も家族みんな(離れて暮らす子や孫も含む)が1日健康で過ごせたことを感謝し、今日1日の平穏な生活を祈願する」するのである。
沖縄の田舎の集落では、まだ、食べ物は神からの恵みであり、健康や家庭円満、仕事がうまく行くことも、神やご先祖様の意思に関わることなのだ。
山からの恵みは山の神に祈り、海からの幸は海の神に祈る。
我々は、すべての自然や、周りの人々により生かされているので、自然に対して敬いの気もちを持ち、周りの人に対し迷惑になるような行為を慎んで日々の生活を送っているのだ。
また、神様の意思を集落の人々に伝えたり、集落の人々の声を神様に伝える役目を果たしているのが、「神女(カミンチュ)」である。
神行事や神事がある場合は、自分の生活よりそのことを優先して集落のために尽くしてくれている。
その神女は、神様から選ばれてお告げがある人しかなれず、報酬はほぼないボランティアの活動である。
神女の行う神行事は、旧暦の日付で行われており、ほぼ毎月1度は神行事の日が定められている。
神女は神事、神事に集落内の拝所で祈り、集落の豊年万作や、無病、災いが起きないよう、家庭が円満であるよう祈っている。
あなたも、感謝の心を思い返し、自然や神様に守られた暮らしを体験してみませんか?